広島県内有数のベーカリーである「カントリーグレイン」が運営するレストランだ
広島県内有数のベーカリーである「カントリーグレイン」が運営するレストランだ。無理矢理カテゴライズすれば、食堂になるのかもしれないが、そうすると、本質とのズレがあまりに大きくなるので「その他の料理分野」に加えた。この店の料理はバッフェ、つまりバイキング形式である。しかも、大人一人が2,100円という破格。ちょっとパンを買いに来ただけの人ならば、躊躇すること間違いなしの価格設定だ。正直、僕も内容が判らない間は、どうしようかと迷ったくらいである。しかし、僕はそれでもこの店の料理をお勧めする。なぜなら、これだけ面白い料理を出している店はほとんどないからだ。食べることを愛する人ならば、好き嫌いは大きく分かれるだろうが、その思想性にぜひ触れてもらいたいと思う。何よりも徹底しているのが「ベジタリアンの思想」だ。卓上に置かれたペーパーには「ベジタリアン」という言葉から、野菜ばかり食べている人達という印象を受けるかもしれないが、本来はラテン語の「ベジトウス=健康で生き生きした」という言葉から派生したものだと書かれている。これは知らなかった。僕はベジタリアン=菜食主義者だと安易に考えていた。さて、料理はどれも鳥獣肉を使っていない、さらには魚介類も使われていない。徹底しているのは、卵類もミルクすらも使っていないことだ。そして、これはベジタリアンの思想からは意外なのは、油を使わないこと。もっともタフなベジタリアンでも、植物性油は口にすることが多い。むしろ、油で揚げた料理は、煮たり焼いたりするよりも好まれ、生のサラダなどはあまり歓迎されないことがある。それなのにノンオイルにこだわっているのは、ベジタリアンというよりも、精進の思想だと思う。しかし、そうかと思えばニンニクや玉葱が使われていたりする。ニンニクは精進料理でも使わないが、ベジタリアンも食べない素材なので、少々首を傾げてしまった。このニンニクさえクリアすれば、どんなベジタリアンでも連れてくることができるんだけどな。さて、料理は日替りなので、あまり詳細に書いても仕方がないが、特徴のあった料理を列記しておこう。もちろんパンも置いてあるが、うどんが置かれていた。それをよく見ると、国内産小麦が使われているようだ。内麦特有の薄い灰褐色が見て取れる。それに合わせるツユが置いてあったので、これはさすがに鰹節か煮干が使われているだろうと思い、うどんにかけて食べてみると、なんと魚介のダシは使われていなかった。うどんツユもベジタリアン仕様なのだ。それくらいだから、他の料理にも当然のように魚介のダシは使われていない。素材の風味が強いのと、味付けに独自の工夫がなされているので、何を食べても物足りなさは感じないが、一定したトーンというか、根底に流れる同一性のようなものが感じられた。料理の特徴としては、野菜に豆類を合わせてコクと満足感をプラスしたものが多いこと。穀物、野菜、果実、堅実(ナッツ類)を合わせた「穀菜果食」と書かれたとおりだ。ご飯も玄米にピーナッツと黒米を混ぜてあったのかな?香ばしくて旨いご飯だった。玄米の処理も非常に良い。さらに、野菜の味がしっかりしていて、瑞々しい。季節柄、ヴィシソワーズが置いてあったので少し食べてみると、おそらく玉葱とジャガ芋だけなのに非常に旨い。すっきりした芋のコクと爽やかな風味だけでいくらでも食べられてしまう。あまりの旨さにお替わりしてしまったくらいだ。その他には豆乳がさまざまな料理に使われ、コクをプラスしていた。意外にも味噌や胡麻といった精進では定番の素材はほとんど使われていなかった。これは夏という季節柄もあったのかもしれない。パンを食べて思ったのは、以前に比べてさらに健康指向になったというか、ボソボソ感が強くなったと思う。食味と健康を両立させようとしていた以前のパンとは違い、完全に方向が決まったという印象を受けた。よって、味だけで言えば、以前のほうが旨かったと思う。今のパンはかなり食べ手を選びそうなパンだと感じた。そして、食後には甘さが極めて控えめなケーキ類、フルーツ、珈琲があるので、これも自由に取ることができる。面白いのは腹一杯食べたのに身体が重くないことで、ちょっと独特の食後感だった。完全にセルフだから、サービスの面はあまり指摘しても仕方がないのだが、スタッフはややクール過ぎるというか、客に構わな過ぎ。ほとんど何の指示もないので、最初はどこでお金を払うのかも判らなかった。讃岐うどんのセルフでも、もう少し親切なのだから、一人くらいフロアスタッフがいるべきではないかと感じた。こういう健康指向の店ならではというべきか、客の醸し出す雰囲気は独特なものがあり、そこはかとなく宗教の儀式のような印象を受けてしまった。ただし、僕が訪れたのは週末なので、平日はどうか判らない。しかし、ビジネスマンが食べる昼食として2,100円は破格だし、どんな客層になるのだろう。ちょっと想像ができないな。幸い、僕が訪れたのは夏で、夏野菜が非常に旨かったし、ベランダに出て食べると野山を渡る風が感じられてとても心地よかった。ドライブがてらに出かける店としては、とても適した店だと思う。そうそう、福富町付近は水がいいと言われており、実際にただの水が旨い。この店でも有料で汲ませてくれるようだ。詳細は公式サイトを確認して訪れてもらいたい。(03.08)
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