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快食案内サーチ
正統な、真に正統な讃岐うどんの流れを汲む店だ。なぜならば、店主は香川県綾歌郡の名店「山越」で勉強した人物。僕も「山越」には何度か行っており、「山越」で店主の顔を見たことがある。そのような経歴を持つ人物が広島市内で店を始められたので、喜び勇んで訪れた。正確には、その情報を入手してすぐ一度訪れたことがあるのだが、そのときは麺があまりに茹で過ぎであり、正直なところ大いに落胆してしまった。思い悩んだまま評価を書きそこねていたのだが(そういうことは多い)、最近の「とく一」は違うと聞き、再度訪れた。まず讃岐の、さらには「山越」のうどんを知っている人であれば、麺は「硬め」でお願いしなければならない。僕はその情報を入手していたので、最初から「硬め」でお願いした。情けないことに「硬め」でお願いすれば、讃岐そのままの見事な麺を食べることができるのに、通常の広島県民は、その固さについてこれないのだそうだ。ラーメンでも、そうめんでも、スパゲッティでもそうだが、茹で加減が過剰だと、どんなに丁寧に作った麺でも台なしになる。ここの麺は「硬め」でちょうど良い加減で作ってあるのだ。例えあなたが本物の讃岐うどんを知らないにしても(讃岐にも旨くないうどん店の方が多い)、僕はぜひ「硬め」を勧める。その方が旨いというのもさることながら、ここのうどんは「硬め」でも麺の塩分がしっかり抜けており、讃岐うどん初心者でも充分受け入れられるタイプのものであるからだ。一口に讃岐のうどんといっても色々あり、大地にほおずりしたくなるような小麦の味がずしんとくるタイプと、軽快で硬質で、小麦の味が薄いタイプがある。「山越」のうどんは後者のタイプ。前者は「田村」「あたりや」等だ。僕はどちらかといえば、麺自身に塩分をしっかり持っており、小麦の味がずしんと来るタイプが好みだが、ここの「硬め」の麺は「山越」にかなり近いものを提供していると思う。硬質で、ぱきんとしていて、塩分が抜けていて、小麦の風味はしないけれど、軽やかな味と喉越しを持っている。このタイプのうどんとしては、とても高いクオリティだ。つけめんのツユも初めて訪れたときより旨くなっている。甘さに頼らず、かつ醤油の風味を全面に出した蕎麦ツユのような個性的なツユだ。薬味は、生姜、胡麻、青ネギが別添えで提供される。星3つか4つか悩んだが、あえて星4つ。まだ若い店主の今後のさらなる研鑽に大いに期待したい。なお、ここには「山越」直伝の釜卵うどんがある(正確には釜玉では?)。食味としては冷たいうどんの方が絶対に良いが、和製カルボナーラと評されるその佳味を一度は楽しんでほしい。あぁ、こんなうどんの食べ方もあるのか、と思えるだろう。なお、一度茹でて、水で締めたものを置いておく他の店とは違い、ここでは生麺からうどんを茹でる。そのため、通常のうどん店以上に提供に時間がかかるので、そのことは了解しておこう。回転数が落ちるのを承知で、より旨いうどんを食べてもらいたいという店主の心意気を大切にしたいではないか。小さな店だが、店主ともう一人、女性くらいしか従業員がおらず、水も天ぷらもおむすびもセルフサービスの自己申告制になっている。いたれりつくせりのサービスではないが、店主が真剣な眼差しでうどんを茹でるのを見ながら、ゆっくり待つくらいの気持ちで訪れたい。(01.05)
再訪。週末の夕方、店に入ると「今からうどんを延ばすので、30分くらいかかりますがよろしいですか?」と言われた。ランチじゃないんだから、打ち立ての茹で立てが食べられるならば、僕は30分くらい軽く待つ。それまでは「カレーうどんが旨いらしいから食べようかな?」と思っていたが、つけ麺(ざるうどん)に変更してしまった(もちろん「硬め」)。やっぱりうどんの状態が良いときは冷たいうどんを食べたいものだ。店主がうどんを延ばし、切り、茹でるのを楽しく眺めた後、運ばれてきたうどんを見てみると、以前よりも麺が増量されていた。これは嬉しい。食べてみると、以前の洗練はそのままに、小麦の旨さと香りがぐぐっと前に出てきている。気温や湿度により、うどんの味は変化するので、一概には言えないのだが、今回僕が食べたうどんは「山越」よりも「田村」に近いものだった。しかも、旨いときの「田村」だ。星4つは当然。星5つでもまったく問題ないレベル。これ以上旨い讃岐うどんは、香川県にもそれほど多くないと思う。まだやっと一周年を迎えただけの若い店主なので、これからのさらなる発展を望みたい。しかし、これほど幸せにしてくれるうどんがたったの500円というのは、ありがたいのを通り越して、申し訳ない。もう少しお金取ってくださいよ、という気持ちになってしまった。(02.02)
再訪。日曜日の開店と同時に訪れたが、11:05には満席になり、11:10には待ち客が出ていた。行列のほとんどない広島で、しかものこの場所で、驚異的なことだと思う。今回は敢えて硬めでお願いせず、そのままのうどんを食べた。いままでつけ麺(ざる)を食べることが多かったので、ぶっかけを頼んだ。たっぷりの麺の上に、刻み海苔、天カス、青ネギ、大根おろし、刻み油揚げ、生姜、玉子の黄身が配置され、麺そのものは見えないくらいだ。それらの上からぶっかけツユをかけ、適宜混ぜながら啜り込む。麺線は割り箸よりも少し太め。手切りとは思えないくらい切り幅が揃っている。店主はガイド付きの器具を使っているが、それでもこれだけ綺麗な麺線に仕立てるのは難しいのだ。麺は硬めで頼んだときほどエッジが立っていない。しかし、美しいほど真っ直ぐのストレート麺だ。きっとグルテンの生成が均一なのだろう。表面はつやつやと輝いており、ちょっともち肌な印象。噛み締めるともちもち感が強く、ふわっと歯を受け止める優しいけれど、はっきりした主張が感じられた。ここ数年の広島のうどんレベルは怒涛の勢いで向上しているが、コシの強い店は、中心に芯を感じるような茹で加減であることが多い。それもまた旨いのだが、一歩間違えたら茹で足りないうどんになってしまう。この店のうどんは、表面から1.5mmくらいまでは少し柔らかめだが、そこから先の茹で加減が一定なのだ。だから芯を感じないし、うどんの塩分も充分に抜けている。どちらかといえば、やや太めの麺なのに、この茹で加減と、そういう茹で方ができる麺を打つというのは凄いことだと思う。ただし、僕はやはりどちらかといえば硬めのほうが好きだな。連れが頼んだ釜玉を食べさせてもらうと、こちらは逆に硬めではなく、これくらいがちょうど良いと思える触感だった。ホニホニにして、小麦粉の香りがふんわりと優しい。うどんの量と玉子の量も適切で、うどんの熱量でちょうど玉子が半熟になるくらいだった。釜玉は最近、多くの店で出すようになったけれど、まずは当たり前に釜揚げのうどんであること、そしてうどんと玉子のバランスが良いことが重要だと再認識した。料理の提供は、当然のことながら、まずは釜揚げや釜玉、次にかけや種もの、最後に冷たいうどんが供される。僕の場合は、連れが釜玉を食べ終わってしばらくして、ぶっかけが供された。駅の立ち食いやセルフ店ではないのだし、うどんの料理手順を理解していれば誰でも判ることだが、提供が前後したり、同時に提供できないのは当然なので、そんなことでイラつかないようにしよう。時間がない人はセルフ店に行くべきだし、最近のセルフ店のレベルは驚くほど高いのだ。店主は以前よりも超然として肝が据わったように見えた。どんなに行列をしていても、うどんの扱いや仕事は丁寧。普通の茹で加減でもこれだけ旨いのだから、次は再度、硬めの茹で加減でお願いしてみたいな。(03.04)
再訪。生醤油うどんがメニュー入していた。また消費税の改正により、値段改定が行われたようだが、なんと端数は切り捨てになっていた。これは実施、値下げである。数円レベルで便乗値上げをする店が多い中、黙って値下げする店はほとんどない。実に「とく一」らしい値段改定だと胸が熱くなった。さて、料理はつけ麺(ざる)を硬めでお願いした。久しぶりに食べたけれど、やはり硬めで食べると、麺の魅力が最大まで引き出されると思う。つか、やはり僕は、ここの麺を硬めにしてもらったのが広島No.1だと思うな。その意を強くさせる旨さだった。何よりも大切なのは硬すぎないこと。低気圧の空のような、どっしりじっとりと重い硬さや、澱粉質のピキピキした硬さではなく、表面がふんわりと歯を受け止め、芯に近い部分でごしっと押し返す。そして何よりも、国産小麦か?と思うくらい香りがふわっと立ち上がり、小麦らしい甘さまで感じられるのだ。こんなうどんはちょっとない。ツユもきりりと辛口で、しかも520円でこれほどたっぷり注いでいいのか?と思うほど量が多い。あまりに旨いし、せっかく作ったツユが惜しいので、連れの分までツユを飲んでしまったくらいだ。細かいことだけど、唯一の不満はうどんの上の切り海苔。うどんが旨いので、海苔の風味が邪魔なのだ。いやはや、それにしても旨い。デフォルトではやや柔いので、柔目が好きな人はここへ、ごちごちした硬さを好む人は「たぬき」が相応しいだろう。僕は、デフォルトの茹で加減なら「たぬき」のほうが好きだし、硬めにするなら「とく一」が上と思う。ツユは「とく一」に軍配。でも、サービスは「たぬき」かな。単一の価値観で両店の差を決めるのは無理なので、両方食べて「どっちも旨い!」と悲鳴をあげた後、うどんの楽しさを噛み締めてもらいたい。(04.06)
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